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社会福祉学部 公務員・行政


静岡県三方原学園
社会福祉士 精神保健福祉士

福永宣彦 

聖隷クリストファー大学
社会福祉学部 社会福祉学科 社会福祉専攻卒業

 私は、本学を卒業して13年の月日が経とうとしております。卒業式のときにお世話になっていた教授から、『Think Globally and Act Locally』という言葉を書いてもらいました。なぜか自分の中で、その言葉は今までずっと忘れずに頭の中に残っていました。

 私自身13年間で何も変わっていませんが、前よりもいっそう福祉専門職という鎧が少しずつはがれて、身が軽くなったという感じです。大学を卒業した当初は、専門職として何かやってやろうという自分本位の熱意が前面に出ていました。13年で、その硬さが取れ、肩の力が抜け、自然体でクライエントと腹を割って話す場面が多くなってきているのを感じています。

 経験年数だけが積まれていますが、私は実践している支援を理論的にすべてを説明できません。長年の経験と勘を頼りにやっていることがどれほど多いことでしょうか。福祉専門職の置かれている現状は、自分も含めてもう一度原点に立ち返る時期に来ているのではないでしょうか。 

 その壮大な悩みの中、専門職同士でともに育ち合い、成長し合うスーパービジョンのプロセスと出会いました。私としては、スーパービジョンは、経験がある者が経験のない者を指導するものではなく、誰でも実行できる手法であると考えています。経験の有無にかかわらず、ともに高め合っていくプロセスこそ、スーパービジョンだと考えています。この手法を媒体に、これから専門職の質と向き合っていきたいと思っています。

 また、今実践している支援を整理して、研究発表や学会に投稿する作業を進めています。今までは、個別のケースに向き合ってきましたが、今後は支援の積み重ねから出てきた課題を私から社会に発信していく必要があると感じています。また、自分から発信することで、同調してくださる方と繋がることができ、人との出会いも広がっていきます。

 まだ知らない世界や価値観に遭遇し、そこから自分自身の世界観も少しずつ広がりを見せています。人との出会いから、成年後見業務を裁判所から受けさせていただいたり、社会福祉士会から地区研修としてグループスーパービジョンを運営させていただいております。福祉に携わる者として、人との縁を通して、人の幸せに寄り添うことができることをうれしく思っています。そこが福祉の醍醐味だと思います。
出典:2018年9月発行「広報誌クリストファーVol.9」

湖西市健康福祉部高齢者福祉課
主任社会福祉士

都筑 万由美 

聖隷クリストファー大学 社会福祉学部社会福祉学科
社会福祉専攻卒業
聖隷クリストファー大学大学院 博士前期(修士)課程
社会福祉学研究科 社会福祉学専攻社会福祉学分野修了

 学部を卒業してから10年以上が経ちました。結婚、出産、転職と、自分のライフステージが変化するなか、現在は行政の高齢者担当課で社会福祉士をしています。

 行政の社会福祉士というとみなさん、どのようなイメージを持たれるでしょうか。私は、行政の社会福祉士とは、最終のセーフティーネットを守る役割を持っていると考えています。「高齢者の一人暮らしだが、安否確認ができない。」というような一報が入ると、急に緊張が走ります。多くの場合は何らかの理由で連絡がつかなかったが無事であった、ということが多いですが、残念ながら亡くなっていたということもあります。

 病院や施設とは違った側面でヒトの生死にも触れる仕事です。どのような形でも一つひとつのケースにはそれぞれ終結がきます。本当にこれで良かったのだろうか、もっと他に方法はなかったのか、と、常に考え続けてきました。答えのでない問いを抱え、「市民のために仕事をしている」と、胸を張ることができない職員になってしまっているような気がし、自分自身をどんどん嫌いになっていきました。

 自分に与えられた役割とは何なのか、行政の社会福祉士としてどのようにあるべきなのか、苦しい気持ちを抱えるなかで、常に持ち続けていた想いが「大学院への進学」でした。疲弊した心を抱えながら再び学び舎に戻ってみると、私の気持ちを救ってくれたのは市民の方たちでした。修士論文のための調査でインタビューをさせていただいた市民の皆さんの目はキラキラと輝いていて、希望や使命に満ちていました。自分たちの住む地域のためにという熱い想いから出る言葉の数々は、私の疲弊した心に染み渡るように感じました。

 市民の皆さんの生の声に触れるなかで、「皆さんの熱い想いを使い捨ててはいけない。そのような行政職員になってはいけない」と、再び新たな気持ちが沸き上がるのを感じました。私たちはお互いにひとりでは何かを為すことはできません。しかし、手を取り合えば可能性は無限なのだと、改めて気が付きました。

 常に世の中は変化し、私たちを取り巻く環境は決して良いものではないかもしれません。しかし、そのようななかでも、誰かの暮らしが少しでも暮らしやすく、穏やかに過ごすことができるように、自分には何ができるのか、そして市民の皆さんに対して何が還元できるのか、を考え続けていきたいです。
出典:2023年4月発行「広報誌クリストファーVol.14」