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聖隷の理念

長谷川保

学校法人聖隷学園
創立者 長谷川保
(1903~1994)

自分のようにあなたの隣人を愛しなさい

聖隷とは、「聖なる神の奴隷」という意味です。命名者は故・長谷川保。社会事業をめざし、同志とともに無私の愛を結核患者に注ぎました。以来約70年、この小さな事業は大きく発展し、医療、社会福祉、教育にわたる我が国最大の総合社会福祉事業集団となりました。これを支えた精神は、「神と隣人とを愛する」ということです。それがイエス・キリストの恵みを受けた者の生き方である、と創始者たちは考えたのです。イエス・キリストは旧約聖書にある600を超える律法の中から、「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くしてあなたの神である主を愛しなさい」、「隣人を自分のように愛しなさい」という二つを最も重要な条文として示されました。また、隣人とは誰のことか、との問いに答えて「善いサマリア人」のたとえ話をされたのです。──あるユダヤ人が旅の途中、追いはぎにあって半殺しにされ、道端に倒れていました。同胞である祭司やレビ人は、通りかかったが道の向こうを通って行ってしまいました。民族的には仲の悪いサマリア人が通りかかり、手厚く介抱しました。イエスは「誰が追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか」と問われました。律法の専門家が「その人を助けた人です」と言うと、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい」。聖隷の精神は、病む者・苦しむ者の隣人になろうとする精神です。そして、聖隷学園の建学の精神も「隣人愛」に置きます。「行って、あなたも同じようにしなさい」の中に込められている、イエスに愛されている自分を知り、その自分のように相手をイエスに愛されている隣人として見い出すために。

今、我が国は人類が経験したことのない超高齢社会へ向かっています。世界では、医療・福祉の分野で大きく立ち遅れている国々があります。また、物質的な豊かさの一方で、精神基盤の危うさが問われています。聖隷が聖隷であるための「隣人愛のこころ」を燃やし続ける必要があるのです。