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教員リレーエッセイ

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人にとって「働く」意味とは・・


2022年9月10日更新
皆さん、人はどうして働くのか・・・そのようなことをじっくりと考えてみたことがあるでしょうか?当然、「お金を稼ぐため」、「生活のため」、「家族のため」という答えが一番多いと思います。でも働くことってそれだけでしょうか?・・・実際に働いた経験のある方に聞くと、「余暇を充実させるため」、「人との出会いのため」、「社会参加のため」、「自己実現のため」など、次々と多くの意見があがります。つまり働くことは、一人ひとりの人生に大きな意味を与えるものと言えます。当然、障害を持っている方々でも同様であり、働くことで、働く前よりも症状が画期的に改善したという研究報告もあります。そのように「働くこと」は、人の人生においてとても大切な活動・作業であり、私自身も社会人となって20数年、作業療法士として働く中で、自立し、成長し、また生きがい・やりがい・自己実現など多くの喜びを実感してきました。
だからこそ働きたいのに障害などの理由から働くことが困難な方々の力になりたいと思い、私は作業療法士として、障害者の就労支援を専門として研究・実践活動を行っています。
日本における障害者雇用の現状は、近年行われた障害者雇用促進法の改正や障害者総合支援法の制定により、大きく改善し、めざましく障害者の雇用者数が伸び続けています。この成果は企業側の努力が相当大きなものにはなりますが、同時に企業と障害者を結びつける支援者の力も大きく貢献しています。
就労を支援する際には、複数の職種が連携して支援を担いますが、作業療法士もその一員として関わっています。最近の研究では作業療法士が障害者の就労支援に加わった場合、そうでない場合と比較して就労率が高いことが報告されています。
作業療法士が障害者の就労支援の現場で最も活躍するのが、障害者の方の能力を適切に評価する力です。作業療法士は身体面の知識はもちろん、心理面や脳機能の知識も有しています。だからこそ対象者の能力を適切に把握し、最大限に能力を引き出し、苦手な部分はサポートの手段を柔軟に考え、本人の興味や夢を大切しながら、就労へと結びつけることができます。このような障害者の就労支援の分野を「職業リハビリテーション」ともいいます。
作業療法士でこの「職業リハビリテーション」に関わっている割合は1割にも満たさず、かなり少ないのが現状です。しかしながら作業療法士の持つ力を最も発揮できる分野であると私自身は実感しております。働くことを望む多くの方々の夢が実現できるよう、今後もこの分野の研究・実践・教育活動を続け、邁進していきたいと思っています。