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教員リレーエッセイ

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介護福祉士と看護師の「視点」の違いを意識して


2023年11月10日更新
 私の基礎資格は看護師です。高校の衛生看護科を卒業し、地元を離れ総合病院に就職。その後、病院を退職し介護福祉士の養成教育に携わることになりました。病院勤めの終盤は、高齢者が多く入院してくる整形外科が中心の病棟でした。そこでの経験と、介護福祉士の養成教育を通して高齢者へのかかわり方を垣間見たことで、それぞれの視点と、それぞれの良さに気づくことができました。
 介護福祉士の仕事は、生活の支援です。一人ひとりの心身の状況に応じて、日常生活で行われている行為のサポートだけではなく、住み慣れた地域で、その人らしく暮らすことをささえる仕事です。病気のために治療をしていても、それは生活のほんの一部のことです。治療のために生活の制限が出るのは仕方がないことですが、それでも、その制限を最小にして生活を楽しむための工夫として捉えることを重視する考え方は、とてもゆとりのあるものと感じました。
 一方、看護師の仕事にも、療養上の世話があります。これは、入院患者さんの食事・入浴・排泄などを含めた入院生活のサポートなのですが、残念ながら、私は、病院勤めの間、この行為を入院“生活”の支援とは意識していませんでした。どうしても、“入院”生活は、治療が優先となるため、効果的な治療にするための“安静”時間という認識になっていました。
 現在は、その“安静”時間を最小限にして、今までの生活に近づける支援に向かっているので、このようなことは少なくなっていると思います。特に、在宅支援となれば、介護福祉士も看護師もサポートを提供する相手は「生活をしている人」であるため、違いはないはずです。
 それでも、何に視点を置くかの違いは、必ずありますし、それが専門性の違いだと思います。支援を必要とする人に対して専門職の視点からサポートを提供することはもちろん、それぞれの視点から重なり合うところや、不足してしまうところを見つける視点をもつ専門職との連携も含めた学びを、これからの研究や教育活動につなげていきたいと思っています。