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教員リレーエッセイ

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「自分らしく生きる」ための心のリハビリテーション


2023年10月10日更新
 「リハビリ」と聞くと、「身体を動かす・治す」ことをイメージされる方が多いと思いますが、身体と同時に「こころ」の面に焦点を当て、リハビリテーションを行う職種がいます。それが「作業療法士」という職種です。
 以前は「精神疾患」と聞いても、どんな病気か想像することが難しかったと思いますが、最近はテレビや新聞など、様々な媒体を通して目に触れる機会が多くなりました。「うつ病」「発達障害」「摂食障害」「パニック障害」「アルコール依存症」など、目にする疾患は多岐に渡ります。人との関わりが苦痛になり、家に閉じこもるようになったり、学校に行きづらくなったり。職場や家庭で責任ある立場となり、充実さを感じる一方で無理をしてしまい、ストレスが増えたり。他人と自分を比較して、自分を追い込んでしまった結果、食事やアルコールの問題を抱えるようになったり。
 今は「多様性の時代」と言われ、どんな生き方も認められると頭では分かっていても、周囲の目や世間の枠組みが気になって、「自分」を引っ込めてしまう。その生活が続くと、「ちょっと息がつまる」。そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
 私が高校生の頃、友人が精神疾患になりました。友人は「学校に行って、みんなと一緒に勉強がしたい、楽しい学生生活を送りたい」と希望していましたが、体調が安定せず、欠席が増え、結果的に中退しました。この友人も周囲の理解が得られない時期があり、「自分は友人のために何かできなかっただろうか」と考えたことが今の進路につながるきっかけの一つになりました。
 そんな「生きづらさ」を抱える方に寄り添い、「大切にしたい生活」を送れるために、今できることは何か。「頑張る自分」もいいけれども、「頑張らない、素の自分」でもいい。たまには肩の力を抜いて、ちょっと許容範囲を緩めてもみても大丈夫。そんないろんな自分を認め、生きやすくなる方法を生活の中で一緒に考えるとともに、環境・社会とどう共生していくか。多面的に考え、関わることができるのがこの仕事の醍醐味であると感じています。