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教員リレーエッセイ

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「子どもたち」の便り


2023年5月10日更新
 本学に赴任する前は、病院で言語障害の子どもたちの言語訓練をしていました。その子どもたちは、ダウン症候群やウィルス性脳炎後遺症、自閉症スペクトラム障害、ADHDなどのために言語発達が遅れて、発話がなかったり、年齢相応に言語が育たなかったりで、来院されていました。初診の2歳ごろから高校卒業まで、とお母様たちとも長い間のお付き合いになります。私が病院を辞めて、浜松に来てからも毎年、年度が変わるとお母様たちからLINEで近況報告とともに写真が届きます。「まあ、こんなに大きくなったんだな」といつも驚かされます。「支援学級から支援学校に進学して、文章も書けるようになり、先生に褒められている。よくできるのでリーダーになって自信をつけている」との知らせや「もう今年は二十歳を迎え、元気に仕事をしている。食べ過ぎて体重が増えすぎたので、一緒にプールに行っている」などの情報とともにたくましく成長し、にこやかに笑っている写真や支援学校での実習の様子などの写真を添付してくれているので、こちらも嬉しくなります。大きくなっても、どこか言語訓練をしていた頃の小さい時の面影が残っているので、すぐにわかります。
 お母様たちはわが子のことを心配し、熱心に言語訓練に通ってきてくれました。当時は悩んで必死な形相をしていました。長い年月の経過とともに「あの頃は必死だったけれど、過ぎれば早いものですよね~」と思い出を語ってくれるお母様もいて、私も共感しています。お母様たちも、子どもたちがたくましく育っていく姿に癒され、障害をもっているわが子を客観的に見つめ、受け入れて今後を考えていく余裕が生まれてきているようです。まだまだ本格的な自立とまではいかないので、何が起こるか、どうなるかはわからないのですが、お母様たちもびくともせずに立ち向かえる力をつけてきたのだなと感じます。私もいつまでも子どもたちを見守り、年の功でお母様たちも見守りたいと思っています。