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教員リレーエッセイ

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心理に強いソーシャルワーカー:公認心理師対応カリキュラム開始しました


2023年7月10日更新
 2023年度から、本学社会福祉学部と国際教育学部共同で、公認心理師対応カリキュラムを開始しました。私のプロフィールを簡単に述べると、精神科クリニックの臨床心理士を経て、精神障がい者のための援護寮・地域生活支援センターを設立し、施設長(精神保健福祉士)として地域支援に携わってきました。並行してNPOの創始、代表理事として運営に携わり、ひきこもり支援や精神障がいの方々の体験発表会・絵画展開催等に取り組んできました。本学社会福祉学科では、精神保健福祉士養成課程、スクールソーシャルワーカー教育課程及び社会福祉学研究科を担当しています。
 精神科受診者の増加(直近の調査では約600万人)、G7では最悪の自殺者数。昨今急激に社会課題化しているひきこもり(直近の調査では約146万人)は、80代の高齢の親がひきもり状態の50代の子の世話をし続けて何の社会的支援に結び付いていない、いわゆる8050問題が深刻化しています。また、不登校の児童生徒も10年前に比べて約倍の24万人になっており、低年齢化も進んでいます。更に2020年にまん延し始めたコロナウイルスの影響下では多くの人々のメンタルヘルスの悪化が懸念されます。
 このような状況下で、国は令和6年(2024年度)から精神保健福祉士法の定義を、従来の精神障害者の医療もしくは地域相談支援に加え、精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じることができるよう改正します。つまり精神保健福祉士は地域精神保健(コニュニティーメンタルヘルス)の担い手となっていくことが期待されているのです。
 より心理的な課題が深刻化し、場合により一家族に複数の精神保健上の課題を抱える方が存在することが考えられます。このような状況にも対応できるよう、医療・福祉・地域内での連携は精神保健福祉士の学びで、個人や家族への理解は公認心理師の学びで力をつける「心理に強いソーシャルワーカー」の養成を始めた次第です。
長年、臨床心理士及び精神保健福祉士として構築してきたノウハウや地域ネットワーク、問題意識等を、学生さん達と共有し、地域の皆さんと解決に向けて歩んでいきたいと考えています。