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教員リレーエッセイ

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家族介護に思いを寄せて


2022年1月10日更新
私の自宅は新宿区にあり、帰省にあたっては都内の人流や新型コロナウイルス感染症の感染対策アンテナを張り、細心の注意で移動しています。休日の帰省は休息ではなくほぼ家事労働。その合間に実母、義母、障害の妹を順番に見舞っていますが、遠方で仕事をすることを応援している家族に、せめてもの気持ちで奮起して過ごしています。看護と介護・社会福祉の知識は、多くの場面で鎧にも盾にもなり、家族の思いも専門職の立場も理解でき強みとなっています。

日本の福祉政策は医療・介護の需要増加を見込み、「地域包括ケアシステム」が構築され「重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護・予防・生活支援が一体的に提供される」しくみをめざしています。

このしくみの中でも、家族介護は存在し、アンペイドワーク(無償労働)に頼っている現状があります。離島・僻地で訪問介護員不足の場合、要件下での同居家族の訪問介護の認定や、要介護4.5の認定者に介護保険サービスを利用せずに1年以上介護し続けた家族に対し、居住する自治体から家族慰労金が出るしくみもあります。しかし、多くの自治体が実施していないのが現状です。障害者(児)・高齢者の家族介護は24時間労働でゴールがなく、家族負担は計り知れません。ドイツでは介護を担う家族への手当の支給があり、現金給付が良いと言いきれない日本の現状はあるものの、成功しているドイツの介護保険施策もあります。家族への労いは、現物給付と現金給付により、報われている意識は明日への希望につながるものと思います。少しでも家族の我慢と忍耐が解消され、悲しい事件の抑止になるよう見えない労働の重要性を考え、良い方向への実践可能な施策が必須と思います。

私の研究課題は「家族介護者・介護従事者の健康づくり」です。家族介護の継続と、介護専門職が長くその使命を全うできるよう支援していきたいと思っています!