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教員リレーエッセイ

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教育の可能性に気づく教員採用試験対策


2021年9月25日更新
小学校教職課程設置から3年目に入りました。小学校教諭になるためには、教員採用試験に合格することが必要です。2年次生の秋セメスターから教員採用試験対策講座を開いています。
教員採用試験用問題集や参考書に書かれていることを覚えるのは、難しいようです。丸暗記では、知識の剥落現象が起こってしまいます。
これを防ぐには、社会科指導法の「事実認識」から「関係認識」「価値認識」へと移行することが求められます。「関連付ける」をキーワードにして、使える知識へと進めていくことが必要です。そうすれば、教育現場での教育実践力へとつながっていきます。
そのためには、テキスト内容を現実につなげる補足が欠かせません。
ある回では、ヴィゴツキー「発達の最近接領域」という言葉が受講者から出てきました。その意味を尋ねると「?」でした。最近接領域は、自力だけよりも仲間や教師、ものとの交流によってより深く理解し、高いレベルへと達することを示しています。これは、教育の可能性を示していると言えます。年齢による発達段階に対して、ジャンプ(飛躍)できる可能性があるのです。
1ヶ月後、幼小接続の問題を話している時でした。ヴィゴツキー「発達の最近接領域」が出てきました。幼児教育と小学校教育の間は、「接続」で示されています。この「接続」領域は、最近接領域と言えるのではないか、というものです。見方を換えると、発達の最近接領域は、「『断層』を示しているのか、『接続』を示しているのか、それとも結果次第なのか」を問題としたのです。知識を使い始めると面白いのです。理解が深まっていきます。
小学校インターンシップ実習を経験している学生の中には、実習校の先生から「あこがれ」の先生を見出す場合があります。あこがれの先生の真似をして上達していく事実があります。これは、バンデューラのモデリングです。階段を1段ずつ上がっていくのではなく、あこがれの先生という頂点からその先生になりきって演じていく。「なんと最近接領域の幅が大きいことか!」これも教育の可能性を感じさせます。
教員採用試験用問題集や参考書等の本で書かれたことが、現実の教育の可能性に気づくことにつながれば、知的で実践力のある教員になっていく姿を思い描くことができるのです。