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教員リレーエッセイ

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学校における作業療法の役割


2021年8月20日更新
 文部科学省による「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査(平成24年)」では、知的発達の遅れは無いものの、学習面または行動面で著しい困難を示す児童は7.3~8.1%と報告されています。また、平成30年度の文部科学省による「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」では、小学生による学校管理下での暴力行為の発生件数は1,000人当たり5.4人であり、平成20年度と比べ6.75倍に達していると報告されています。児童による暴力行為は学校生活への不適応を示すものであり、転学などの措置に至ることもあり、大きな問題となっています。学校生活への不適応の要因として、自閉スペクトラム症などの発達の特性が指摘されています。浜松市内の公立小学校5校と中学校3校の教員に調査をしたところ、小学校69%、中学校96.7%の教員で気になる児童生徒がいると回答していました。
 以上のような背景があり、学校における作業療法の役割が現在の研究テーマのひとつです。発達領域の作業療法士は、発達障害児も対象としており、日常生活における様々な活動に対し、ライフステージを通じて支援しており、感覚統合理論、応用行動分析学、代償学や環境整備論など多肢にわたります。すなわち、作業療法士は学校生活全般における問題行動や内在化された症状への予防・改善において貢献できる職種であるといえます。
 現在、大学教員の傍ら、浜松教育委員会からの依頼で特別支援教育における巡回相談員に任命されています。学校で児童生徒の対応に悩んでいる場合、教育委員会から依頼があり、学校へ訪問し、対象児童生徒の実態把握をして、教員に助言等を行っています。年間およそ十数校訪問しています。相談内容は、暴力・暴言などの行動面、読み書きなどの学習面、姿勢や運動などの身体面、コミュニケーションなど多種多様です。様々な課題に対し、上述した作業療法の視点から原因を追究し、児童生徒と教員が楽しく幸せに学校生活がおくられるような支援方法や実践、コンサルテーションする方法を研究テーマとしています。