SCESへの質問-3- 聖隷クリストファー小学校の「自立の時間」

 前回「勉強」についての考えをお伝えした中で、次のように書きました。

 

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一般的に「勉強」して身に付けるものと考えられている多くのことは、この必要性に駆られて生まれる「学習(学び)」による方が、効果的に身に付けられることは多いはずです。とはいえ、前者の一般的な「勉強」と呼ばれる活動は、全く必要ないと言えるでしょうか。わたしたちはそう考えません。

 

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今回は、一般的に「勉強」と呼ばれる活動をわたしたちの学校ではどのような考えに基づいて行おうとしているのか、その一端を最も典型的な例の一つである「算数」の学習を通してご紹介します。

 

 算数を体験的に学ぶことができると、その内容は単にドリルで学ぶ以上に大きな意味・意義を持ち始めます。

例えば、分数をただ数字だけで理解しようとするとどのようなことが起こるでしょう? きっと「これって役に立つの?」という疑問を持つ子が続出するでしょう。

これが分数の割り算などに発展すれば、尚のこと

他方、

 【クラスメイトの誕生日を祝うためのケーキをどう切り分けたら良いだろう?】

というような生きた状況の中で分数を用いることができたら

分数は友人たちとの素晴らしい経験と共に、子どもたちの中に記憶されるはずです。

このような「意味や意義のある学び」にわたしたちの教員チームは意欲的です。

 

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 ただし、同時に学習内容をドリル的に繰り返すことで習熟していくことの重要性も認識しています。このようなドリル的な学習において、わたしたちは児童用のタブレット端末を活用します。

今のところ日本の一般的な小学校の授業は、ほとんどの場合「全員が同じ時に、同じ問題に取り組む」ことに軸足を置いています。このように協働的に解決方法を考えることによって学ぶことも多くあり、私たちはそのような学習を取り入れることにも前向きです。

しかし、我が国のいくつかの先進的な学校では、近年このような協働的な取り組みの良さは残しつつ、「それぞれの子が、それぞれのペースで学ぶことができる」学習の導入を試みてもいます。この方向性を後押ししているのが、昨今文部科学省より発表された「GIGAスクール構想*」に象徴的なICT教材の進歩です。

詳細は右記リンクを参照。 https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

ICT教材を用いた学習の導入は、今や世界的な潮流となりつつあります。それはこれらの教材によって学習効率が飛躍的に高まることが既に実証されているからです。

 

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 しかし、わたしたちが一番大切にしたいことは、決して「効率」ではありません。

学校はヒトが人間として発達・成長する場です。

   静かな場所で自分自身を深く見つめること、

     他者とつながり合うことを試みては葛藤すること、

       美しいものや世界との偶然の出会いに感動すること

そんな豊かな人間の根っこは、むしろ私たちが「効率」とは対極にいる時にこそ育まれるのではないでしょうか。世界的にも知られるシュタイナー教育では、発達年齢に応じて「ゆっくり育つ」ことが大切にされていると聞きます。「効率」は、わたしたちがより人間らしく生きていくことを可能にする限りにおいて追求されるべきものだと考えます。

 

 さて、上記のような考え方を大切にしつつ、主として一定の練習を重ねる必要のある教科学習に取り組む時間のことを、わたしたちは「自立の時間」と呼んでいます。

  この時間に生まれる学び自体が豊かな日常をつくり出すと同時に、

      子どもたち自身が豊かな人生を実現する力を育んでいけるような時間ーーー

今後、日本や世界における様々な取り組みから常に学びつつ、SCESSeirei Christopher Elementary School)ならではの取り組みに発展させていきます。