世界の窓-2- プラハの音楽教師

1990年代のチェコ共和国、プラハでの話です。

ある日、国際理解教育の一環で現地の公立学校を訪問しました。
それは音楽の授業の一コマでした。
生徒は各自が思い思いのリズムでボンゴ(股に挟んで手で打つ楽器)をたたいています。
そのうち、一人の生徒が、同じようにボンゴをたたいている音楽の先生の前に座って二人でたたき始めました。
初めはバラバラだったリズムが、しばらくすると生徒と先生のリズムが見事に調和し、周りのみんなの身体が心地よく揺れ始めました。
一人が終わると次の生徒、そしてその次の生徒と順々に先生の前に座ります。
一組ずつの生徒と先生との調和は続きます。
各自、違うボンゴのリズムですが、誰のリズムにも瞬時に合わせてしまう先生のボンゴ。まるで神業です。
それは一人ひとりのリズム(個性)に合わせ、そのリズムを生かすための同伴役であるかのようでした。

その先生は、20代半ばで音楽大学を卒業して音楽の先生になります。
しかし、もっといろんな音楽を体験し納得してから子どもの前に立ちたいとすぐに辞職。
それからバンドを組んでチェコから世界へと音楽の旅に出かけます。
世界中の民族音楽も学びながら旅は延々と続きました。
そして、「よし、これで子ども達と楽しめる」と納得できてチェコに戻ったときは60歳だったといいます。

一人ひとりの個性を生かせる音楽教師になるために、何と40年近くの歳月をかけて追い求めた技だったのです。

衝撃でした。
世界にはここまで極める教師がいるんだと。
これじゃ、子ども達は認められ、生き生きと育つはずです。
ちなみにチェコのプラハでは毎年5月になると「プラハの春音楽祭」という国際的な音楽の祭典が開催されます。
「さもありなん」です。

子ども達一人ひとりを大切に育てるのが、聖隷クリストファー小学校が目指す教育です。
ですから、この学び舎にもチェコの音楽教師に負けない先生が集い始めています。
期待してください。

 

❁2019年4月6日❁