「聖隷の英語イマージョン 」 自己肯定感の上に立った自立学習 -ジョージ・クマザワ先生

 

当日講師としてお招きしたジョージ・クマザワ先生には「TOK(Theory Of Knowledge 知の理論)体験:IB教育の集大成」をテーマに学習体験を実施して頂きました。

こちらも大変興味深い学びが展開されましたが、今回はプログラムの都合上当日は十分に扱うことができなかった「英語イマージョン教育」について理解の手助けになる内容を寄稿して頂きましたのでご紹介いたします。

大人向け学習体験レポート<特別編> です。

 


「聖隷の英語イマージョン」自己肯定感の上に立った自立学習

~言葉を身に付けさせるやり方について根底から問う~ (ジョージ・クマザワ)

 

日本の学校では、たいていの教科でテストに向けて何週間か授業をして、学年で一斉にテストを受けさせて、そのテストの結果で習熟度を測り、次に進むというのが一般的ではないでしょうか? それが当たり前だと思っている方が大多数だと思います。例えば、英語の教科を考えてみましょう。ある児童がテストで75点と取ったと仮定してみてください。もしかしたら、その結果を喜ぶ本人あるいは保護者の方がいらっしゃるかもしれません。でも冷静に考えると、それは25%分からなかったということです。授業の1/4の内容が分からないまま進んでしまうということにもなりかねません。分からないまま、次に進んでしまっているのに本当に喜んで良いのでしょうか? また、英語の知識量で、英語の運用力も同時に伸びたと言っていいのでしょうか?

これがどれだけおかしいことかということを理解していただくために、例として柔道を習っているお子さんのことを考えてみてください。25%できないことがあるまま昇級し、違う色の帯を締めるということは決してありません。100%に到達して、ようやく次の段階に進むのです。みんな次の級あるいは段に進むタイミングは、違います。習得するスピードや習得方法がそれぞれ違うからです。これは当たり前のことです。

また、家を建てる現場のことを考えてみてください。75%しか完成していない土台の上に家を建ててしまったら、そこに住みますか? そしてそのいい加減な土台の上に更に40%完成した家にそのまま住みますか? でもそれと同じことが、冒頭でお話したテストで行われているとしたら・・・。なぜ学校では、75点、あるいは40点を取ってしまっても、次に進んでしまっているのでしょうか? その理由は、学校のテストの目的が、教科の習得状況をみたり、評価をしたりすることに偏っているからだと思います。「知識・技能の習得を本人が自覚してマスターする」ということになっていないからです。

聖隷クリストファー小学校の英語教育は、自己を知り、他とつながるための言語運用力を高めることに重きを置きます。なぜならばイマージョンのゴールは、テストで良い点数を取ることではなく、自分を表現するために英語を自由に使いこなせるようにすることだからです。それには、自分自身の学びを構築していくことが大切になります。テストで予め決められた到達点や他人の点数との差異で評価されるのとは対照的に、自分自身が英語の運用力を高めることをゴールとすることは、比べる基準が他にあるのではなく、「昨日までの自分」になります。それまでの自分よりもどこが上手になったのか、どこが伸び悩んでいるのか、過去に伸び悩んだときどのような方略が効果的だったか。成功したときを振り返り、応用し、それまでの自分からどれだけ成長したかを客観的に分析するのです。そして、心から楽しい、日々運用力が伸びていると実感することや、先生の言っていることが分かるようになったという喜びによって自己肯定感が高まり、もっと知りたいといった意欲にもつながっていくのだと思います。自分の成長を喜び、「自分なりの方法とスピードで100%まで到達することができる!」と信じる、このような自立的学習者を育成していくのが我々の目指す英語教育です。

そのためには、学びをパーソナライズさせる(個別化する)ことも必要になります。現在一人ひとりの学びをパーソナライズさせる環境やツールの準備を検証しています。例えば、時差の少ない国に居住する児童たちとオンラインで、リアルタイムでつながり、英語のみで協働するのも一つの方法です。様々な国からパートナー校を募り、環境を整備していきます。また様々な個別学習ツールも検討しています。それらをイマージョン担当教員、学級担任、学習者本人、保護者、学校全体(アフタースクールも含む)で共有し、学習者の成長や進捗状況を把握しながら、サポートしていく体制を築いていきます。このように、聖隷クリストファー小学校の英語イマージョンは、一人ひとりの自己肯定感の上にたった自立学習を大事にします。どうかご期待ください。

 

Reference

Khan, Salman. “Let’s teach for mastery – not test scores.” TED Talks Live, November 2015, www.ted.com/talks/sal_khan_let_s_teach_for_mastery_not_test_scores.

 


 

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